3月18日、議員インターンシップで若者と政治を結ぶ活動をしているNPO法人ドットジェイピーと株式会社JGマーケティングが運営するクラウドファンディング「シューティングスター」との新サービス「政治版クラウドファンディング」の提供開始が発表された。
「政治版クラウドファンディング」
http://seiji.shootingstar.jp/
「クラウドファンディング」の「クラウド」は、よく「雲(cloud)」だと思われがちだがそうではない。群衆(crowd)という意味で、そこに資金調達(funding)を組み合わせた造語である。
今回発表された「政治板クラウドファンディング」は、シューティングスターのサイト上で、政治家(国会議員、地方議員や立候補予定者など)がプロジェクトオーナーとなり、資金提供を呼びかける。提供資金の額によって物販品(ギフト)が用意され、プロジェクト賛同者はギフトを購入することにより、プロジェクトに参加し、達成したあかつきにはギフトを受け取ることができる。
先行する楽天「LOVE JAPAN」などのインターネット献金サービスは、政治資金規制法の「寄付」にあたるが、政治版クラウドファンディングは、「物販」であるため、地方議員や立候補予定者がサービスを利用して資金を調達することが可能となる。
衆議院第2議員会館の会議室で行われた発表会見には、自民、民主、維新、結いの党所属の国会議員や地方議員ら10人が同席し、それぞれ新サービスにかける思いやプロジェクトの説明を行った。
3月18日のサービススタート時点では、12のプロジェクトが立ち上がっている。目標金額は5万円から10万円が最も多く、最高額は500万円だ。金額が低ければ達成しやすいかというと、そうとも言えないようだ。シューティングスターのシステムを運営するJGマーケティング社代表取締役でNPO法人ドットジェイピー代表の佐藤大吾氏は、「プロジェクトは具体的な方が良い」「最初の一週間で目標金額の30%を集められれば現時点での達成確率は100%」と答える。
目標金額が低くても、わかりにくいプロジェクトや魅力のないギフトであれば達成確率は下がるし、金額が大きくてもわかりやすく魅力のあるプロジェクトやギフトが用意され、オーナーが熱意を持って告知に励めば達成確率は上がる。
海外事例の紹介も行われた。さらに先の東京都知事選挙で目標額500万円に対し700万円強を集めた家入一真氏の例が挙げられたが、先日行われた石川県知事選挙では、ある候補者が200万円の目標金額に対して30万円強しか集められなかった事例もある。今後幅広く政治家が参加していく中で、成功だけでなく多くの失敗事例も発生することが予想される。実際、今回立ち上がった12のプロジェクトの中で、まだ2日目ではあるが支援金がゼロのプロジェクトが7つあり、そのうちの6つが個人の政治活動への支援を求めるプロジェクトだ。今後、多くのプロジェクトの参加により、ノウハウが蓄積されていくことになる。
支援者は、最初にクレジットカード情報を登録し、ギフトの購入予約を行う。プロジェクトが達成した時のみ決済が行われ、その金額の20%が手数料として引かれた残りがオーナーに渡る。プロジェクトが達成されなければ決済は行われない。
この「政治版クラウドファンディング」は、通常の「寄付」と異なり、オーナーである政治家の活動を支援することで、自らが政治に参加する意識を持つことが可能だ。また、達成金額に届かなければゼロになってしまうため、オーナーや支援者はSNSを駆使したり、リアルなコミュニケーションを介したりして精一杯支援を呼びかけることにより協同意識を持ち、達成感をオーナーと共有できる。
新しい政治参加の仕組みとして今後の発展が期待される。
(ザ選挙 高橋茂)
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード