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【ザ選挙対談 Vol.1】多様性の中で学び参加型民主主義を実践する 日本政策学校

2014/3/20

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古くは1979年創設の松下政経塾から始まった政治塾。最近では国会議員や地方議員等が主宰する政治塾が次々と開講し、ブームとなって久しい。その中で数少ない「政治家ではない」人物が開校した日本政策学校。今回、その代表理事の金野策一氏に『ザ選挙』編集長・高橋茂が話を聞いた。

日本政策学校

■ すべての政党に中立、主義主張を越えて議論する

金野策一氏

金野策一氏

まず、あまたある政治養成塾と日本政策学校の違いについて聞いてみた。
金野氏は「すべての政党に対して中立で、主義主張を越えて議論していく場」が日本政策学校だという。日本の、不明瞭で、ともすると軟弱な部分が多い政治、政策を強化する方法として「自分と正反対の主義主張を持つ人」と議論することがトレーニングになると金野氏。日本政策学校ではこうした考えに基づき、特定の政党に賛同したり考えを深めたいとする人や、理念・政策を共有する人の発掘を目的としている政治家・政党主宰型の政治塾では成しえないこの点を強化するために、自身の政策のブラッシュアップの場としてこの学校を活用してほしいと語る。

また他にも大きく違う点がある。それは様々な政党の主義主張や内部的な構造を把握したうえで、自由に政党を選択できる「ハブ」になる場所を目指す点。
さらに、特定のブームやカリスマリーダーなどに依存したり、「お任せする政治」ではなく、ひとりひとりの有権者が参加し、改革していこうとする「参加型民主主義」を促進する機能を備える学校を目指している点だという。

■ 参加講師の特徴

まず、主義主張がはっきりしている人。いろんな政策・テーマに対して、明確に賛同、もしくは反対している講師のほうが、受講生にとって論点が分かりやすいからである。次に、講師のキャリアが、そのテーマについて経験、知見がある人。「机上の空論」に終わらせないためにも、実践者の声に耳を傾け、議論することで、自身の考えを掘り下げてもらう狙いがある。最後は、講師の「知名度」。興味の入り口、きっかけづくりになるという。

■独創的でユニークなカリキュラム

日本政策学校は設立して2年ほど。200名以上の卒業生がいる中で、国会議員、首長や地方議員等20数名が政治家として活躍している。
しかし、この学校が目指すのは、政治家育成だけではないという。
金野氏がイメージする卒業後の人材像は、以下の3つ。

  1.  政治家
  2.  政策家
  3.  社会企業家(町興し等のNPO)。

入学後に、本人から目指す方向をカウンセリングし、全受講生共通のカリキュラム以外に、希望に沿った選択カリキュラムを受講してもらうという。
その具体的な内容を次に示す。

まず1については、演説・スピーチのトレーニング、ソーシャルメディアの活用方法。
(自撮り動画やクラウドファンディングで寄付を募る方法など)

2は政策立案、政党間の政策比較やリサーチ方法の習得。
さらに、ネット上に「ソーシャルシンクタンク」を設置。これは一般の市民が参加・議論し、集合知による政策を作るための公共政策シンクタンクだが、この場で、官僚に頼らず、みんなで問題点を出し合い、政策をまとめていくノウハウを学ぶという。

ソーシャルシンクタンク http://www.sthinktank.net/

3はファシリテーター能力の向上をメインに据えており、活動に参加する人の、それぞれ独自の知恵やモチベーションを活かしながら、前向きな活動を促進していく能力を養う。
これも上記の「ソーシャルシンクタンク」上に議論する部屋を設置し、受講生に実際にファシリテートしてもらうという。
他にも、今年4月より高等学校でボランティアで授業を受け持ち、シチズンシップ教育を行いながら、ファシリテーター能力を実践の場でも高めてもらう。

また上記「ソーシャルシンクタンク」のプロモーション戦略の一環として、政治漫画の原作を作成中という。渋谷区長に当選した25歳の女性が渋谷を変え、ひいては日本政治に変革をもたらすストーリーで、シンクタンク内に「渋谷区・政策会議室」を設け、日本中の集合知を結束させて物語をつくっていくという。
既に今年1月よりニコニコ静画で連載を開始しており、今夏、本にまとめる予定だそうだ。(出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン社)

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■参加型民主主義を目指して

このような、多岐に渡ってユニークで独創的な授業内容を通じて、金野氏が見据えるものとは何だろうか。

選挙に行って投票する行為に終わらず、有権者が可能な範囲でアクションを起こすこと」と言う。今の政治は、普通の生活者目線に立った政策、法律が出来ていない傾向にある。これを変えていくには、生活者側が知恵や時間を出し合い、リサーチしたり、議論していきながら対策をまとめていくことだという。
さらに氏は続けて「透明性と双方向性」を提言。これが民主主義の基本であり、これが実現すれば、戦争や貧困といった課題は必ずなくなる。そしてこれを具現化する方法は、有権者のちょっとしたアクションだと金野氏。そのためのインフラや仕組みを作り、それを後押ししていきたいと語ってくれた。

日本政策学校では、今年の5月31日から第5期が開講する。どんな人たちに来てほしいかを聞いてみた。
まず、来年の統一地方選挙を目指して、地方政治からチャレンジしたいという人。そして、日本の政治が国際的に閉塞している現況を見据えて、「地球益=日本益」と考えられる人に来てほしいと金野氏。
ちなみに今までの受講者は、年齢も18歳から60歳までと幅広く、職業も様々。
「その多様性の中で学ぶ事が民主主義の縮図を理解することにもつながります」
氏は最後にそう締めくくった。

日本政策学校 5期 受講生募集

当日の対談の様子は以下の映像ですべてご覧いただけます。

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