政治や選挙にビジネスや社会事業などで関わっている方々をお呼びして、その背景や選挙に関するお話を伺う『ザ選挙対談』。
第4回目は原田謙介さんをお迎えしました。
原田さんは大学在学中、若者の投票率向上を目指し2008年に「学生団体iVote」を設立、卒業後は2012年4月にインターネット選挙解禁を目指し「OneVoiceCampaign」を立ち上げました。2012年11月NPO法人「YouthCreate」を設立し、「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。地方議員と若者の交流会「Voters Bar」の全国展開や、行政・企業とのコラボ企画、選挙時の投票率向上に向けた企画等を実施しています。
ケーキ提供:Mikko’s Cafe
■ 「若者と政治をつなぐ」
原田:若者と政治をつなぐ場を作るのがYouthCreate。iVoteとのコンセプトの違いは、選挙や投票率にあまり特化しないこと。それと、今までは国政とか国会議員に特化していたけど、YouthCreateは地方政治・地方議員に目を向けて活動しています。
■ 「Voters Bar」
原田:この間10回目開催したんですけど、「Voters Bar」っていって、その街の地方議員の方々とその街の学生とか若者が交流する場をつくる活動をしています。“the飲み会”みたいなときもあるし、地方だと一緒に主催してくれる方の家が大きかったりするとみんなでお邪魔して鍋囲もうってときもあれば、 ちょっと真面目にワークショップやってみんなでこの街について考えようっていうときもあるし…いろんな形で交流する場を作っています。事前打ち合わせはもちろんですが、僕も実際当日は現地まで行って、思いが強いあまり喋りすぎちゃう議員さんをぶったぎったりしてます(笑)
YouthCreateのメンバーは、ほとんどが学生インターンで手伝ってくれていて、中心で動いているのが10人くらい。最近有給スタッフがひとり入りました。2DKのマンションを自宅兼事務所として、活動しています。わちゃわちゃ楽しくやってます、学生の頃の延長でまだやってるみたいな…よくないですね(笑)
■ ネット選挙解禁後の変化
原田:あんまり変わらない…気がしますね…(笑)議員の方も意欲はあって、「今度の選挙までにfacebook友達○○人にするんだー!」とか言ったりしてますけど、そこで新たな若者層に広めたりとか、あるいはネットだからこそできるコミュニケーションのやり方で、例えば政策を議論しようとかそういう動きはあまりないので、結局自己満足的に「ネット使ってます!」「発信してます!」って言ってるだけの方が多い気がしますね。
■ ネットの効果
原田:ネットって、新たなファンを獲得するというよりか、ファンになってくれた人をつなぎ止めておくぐらいの効果だと思っていて、例えばTwitterも、よっぽど面白いツイートでもない限り拡散されない。でも政治家の人って自分に投票してくれる人を増やそうと思ってネットを使ってたりするので、そこの意識の差があるような気がしていて…。今まで何となくその人を応援したいなって思っていた人をがっつり抑えられなかったのを、facebookで何か投稿して「いいね」押してもらったりフォローしておけば、それを捕まえられる…住所とかまで聞いてハガキ送らなくても捕まえておけるし、運動手伝ってくれるみたいな。そんな感じですかね。
都知事選のときに「ASK TOKYO」って、都知事候補にTwitterで質問ぶつけたら都知事候補が返しくれるっていう場を作ったんですけど、やっぱり拡散するときに政治側だけで拡散してても、有権者だけで情報をとりにいっても、結局ミスマッチでなかなか繋がらない。だから有権者のことも考えつつ政治家のことを見ているような人が間に立って、両方が入りやすい新たな市場みたいな、新たな繋がる場みたいなのをもっともっと作っていけたら面白いのかなぁと思うんですけどね。
■ ネットと政治の関係性
原田:(iVoteを立ち上げた頃と比べたら、ネットと政治の関わり方は)全然違いますね。僕がiVote立ち上げた頃は、まだTwitterが始まりだしたくらいだったかな。例えば何か集客しようとしたら、まずメールで友達に連絡をする。Twitterになげてもとくになにもない感じでしたし。今YouthCreateみたいな活動をしていると、地方議員さんが僕をフォローしてくれたりYouthCreateをネット経由で知ってくれたりすることがあって、でもiVoteの当時はなかったんじゃないかなって…。仮に政治関係の人が興味もってくれても僕らが知る手段がなかったので…それがフォローしてくれたってなるとわかるし、そこで連絡とったりとかできるようになったから、すごくラクなのかなぁって。
■ YouthCreateの展望
原田:ネット選挙解禁しましたけど、僕はもともとネット側の人間じゃなかったりするので、直接会ったりとか話したりするのが好きなんです。ネットがいかに進化しても多分興味がないとそこには入るような状況にはないと思うので、まずは興味を持つリアルな場でのきっかけをもっともっと作って、ネットでのコミュニケーションがさらに加速したときに、そこにリアルな場から人を送り込むような仕組みをもっともっと作りたいなぁと思います。
ネットで情報は増えても、結局選挙を手伝ってくれるのはその街の高齢者の方だったり、あるいは年齢が上の支援者の方たちだけだと、結局若者の力ってまだまだ発揮できてないと思うので、実際に選挙手伝うでもいいし、もっと簡単に100円くらいの献金ができるようになるのでもいいし、情報が行き来するだけ以上にもっと政治家を応援するとか、政治家が若者のことを聞くようなツールにネットがもっとなっていけばいいかなって思います。
■ ネットによる淘汰
原田:インターネットとかブログとかホームページをやってない人、情報を誰もがみられる状態に解放していない人が淘汰されていけばいいと思っていて。使い方の中身はおいといて、地方議員は家電とファックスしかない、メールアドレスもないような方ばっかりで、でもその人たちがずっと受かっちゃってるのが、せめてブログとメアドくらいないと有権者に対して情報発信責務がないよね、くらいに広がっていくのはいいんじゃないかなと思います。
■ YouthCreateの目標
原田:今後若い人たちが意識しない、気付かないうちに行政とか政治家と出会うような仕組みをつくれたらいいなと思います。例えば「Voters Bar」みたいなのが、大学に入ったら、(入学式の後、)大学のある自治体の議員と交流する場が、全体のオリエンテーションの次の日にあるとか、気がつかないけどなぜか接する場があって、みんな1回は接して、そこで興味を持つ人は興味を持つと…そういう仕組みづくりがなにかできればいいと思っていて。
政治家も政治家で若者に会えば若者のリアルな意見を聞くわけだし、政治家側もなにか違うことやろう、新しいことやろうっていう力になるんじゃないかな。
■ プレイヤーでも監督でもなく、応援団長
原田:(サッカーで例えるなら)僕は応援団長ですよ(笑)観客席にいるくらいのね。そんなに立って応援するほどじゃないファンを立って応援させる、それくらいの立ち位置がいいかなぁと。(とくに自分のカラーや役回りを意識しているわけじゃないけど、)結果的にラクだからこうなっちゃってると、やっぱり(目指すのは)政治家じゃないし、今の位置が楽しいんだろうなと思います。
■ 中野に住まうこと
原田:たまたま中野に2年ちょっと前に住みはじめたら、中野の街面白いし、中野でいろんなことやってる面白い人にたまたま出会うことがあって、そこからどんどん前のめりになっちゃって、結構中野はアイデンティティのひとつになってます…愛着もありますね。大学の新しいキャパスができたり、キリンの本社が移転してきたり、結構変わりだしてる街で、そこに対していろんな人がいろんなアクション仕掛けてて、そこに混ぜてもらってるので、それは面白い。
■ 政治と離れて見えること
原田:個人でいうとこの2年ぐらい、中野でいろいろやり出したりゴミ拾ったりそういう活動をしてすごく良かったなと思って。政治に全然関係ない人たち、いろんな世代の普通の人たちと、普通に政治っていうフィールドじゃなく話せるので、たまに僕の活動話してみてその反応みたりとかできるのは、iVote時代とは全然違うなって。世代も幅広く80代の方とかお話しできたり、一昨日も夜中に中野でお世話になってるおっちゃんに「飲むよ〜!」って言われて居酒屋に行くとか…そういうのが楽しいですね。
ありがとうございました。
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