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9万人のクリック、その先は?〜都議会セクハラ野次事件と今後の対策をみんなで考えよう!〜

2014/6/27

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6月26日、参議院議員会館において、『9万人のクリック、その先は?都議会セクハラ野次事件と今後の対策をみんなで考えよう!』が行われた。
(※記事の最後に動画があります。)

これは、6月18日に開かれた東京都議会の本会議において塩村文夏議員が「自分が早く結婚すればいい」等の「セクハラヤジ」を受けた件に対し、署名サイト「Change.org」でヤジをおこなった議員の処分を求めるキャンペーンが展開され、6月19日から23日までに9万1354人の署名が集まった事を受けて開催したワークショップ形式の集会。

参加者は今回の「Change.org」キャンペーン賛同者、約100名。年齢層も10代と思しき若者から年配者まで様々。また男性参加者も4割程度を占めた。会場には蓮舫議員や福島瑞穂議員も駆け付けた。

会場からはライブ配信が行われ、NHK他民放数社の報道カメラが入った。


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■司会
津田大介

■登壇者(登壇順)
ハリス鈴木絵美(Change.org日本代表)
斎藤万里子 (元UNDP職員・Gender Action Platform)
松本亜樹子(NPO法人Fine理事長・一般社団法人 日本支援対話学会理事)
安藤哲也(NPO法人ファーザリングジャパン ファウンダー)
新居日南恵(慶応法学部2年・manma代表)
治部れんげ (昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員・元日経BP社)

 

第一部では、今回の署名活動の経緯をChange.org日本代表ハ­リス鈴木絵美氏、グローバルなジェンダー問題を斎藤万里子氏、不妊問題を通して松本亜樹子氏、父親からの­立場を安藤哲也氏、将来母となる学生の視点をmanma代表の新居日­南恵氏、女性の社会進出から治部れんげ氏が、今回の問題についてコメントした。(登壇順)

このワークショップ型集会は、今回の「セクハラヤジ」問題において「何が問題なのか」、さらにネット署名した後に「何かできるのか」具体的、実践的なアイディアを考えていこうとするもの。

スクリーンショット 2014-06-27 11.37.58司会の津田氏がまず「鈴木議員は辞職すべき」と口火を切り、鈴木氏は(自らの発言を認める前に)「発言した人は辞職すべき」と言った以上、稚拙な言い訳をせず、公人として責任を取るべきとした。さらに石破大臣の言葉から、「自民党はじめ多くの男性は、結婚することがベストだという伝統に縛られていることが露呈、問題だ」とし、また都議会内の自浄作用が機能していないと指摘した。

次に蓮舫議員が「院内集会で、今日ほど若い女性が多いのは初めて」と、影響の大きさを実感したと話しつつ、都議会が閉会したことで「産めないのか」発言者特定への流れは否決されたが、あの発言の裏に何があったのか、どんな意識が隠れていて、その意識をどう変えていくのかを考えていきたいと語った。

ハリス氏は、「今回のキャンペーンは最大最速のもの」と話しながら、9万人までに至った経緯を説明。都合により出席できなかった署名発信者である東京都内の28歳男性が、署名終了時に発表したコメントを読み上げ、「(この問題の)最終ゴールは結婚と子育てを希望する女性の支援体制を整えること、と同時に様々な事情で出産を望んでいてもかなわない女性や望まない女性を強要することのない社会をつくること」、「女性が生きやすい社会は、すべての人にとって生きやすい社会であるはず」、「自身も子供を希望しながら経済的理由等により難しい状況にあるけれど、この署名の成功により勇気づけられた」等を紹介した。(キャンペーンの詳細はこちら)ハリス氏は今回のことから「個人でも社会を動かすことが可能である社会に生きていることを実感」、「(署名を届けに行くという)ネットからリアルな世界への展開が重要」、「ネット署名ですべてを解決は難しい、その次のアクションをワークショップで考えていきたい」と語った。

次に津田氏の、下がりゆく日本のジェンダー・ギャップ指数105位(136カ国中)の事例とともに、斎藤氏が登壇。今回の件で海外メディアの注目が非常に高かった2つの理由を語った。まず1つは、海外での安部首相の公約「女性が輝く社会をつくる」への期待(と落胆)。次に、今年度は「女子差別撤廃条約」に締結した日本が、どの程度ジェンダー平等に成果を上げているかの審査にあたる年であることだ。さらに氏は、経済活動の面からも日本のジェンダー指数は低く、これは予算分配等を決める政治の場に参加できる女性が少ないためと指摘。都議会でのセクハラヤジも、女性議員が少ないからではないかとした。また男性リーダーの理解が強いとジェンダー平等は進んでいくと語った。

スクリーンショット 2014-06-27 11.44.28次に、不妊体験者を支援するNPOを主宰する松本氏が登壇。「女性の卵子はいつつくられるか?」等の質問を参加者に投げかけた。また6組に1組のカップルが不妊・治療をしている実情等から、既に身近な問題であることを指摘。松本氏は、社会に妊娠情報が行き渡っていないことを憂い、今回の問題も「知らないとおもんぱかれない、それがひずみになる」と語った。

今回、唯一の男性登壇者である安藤氏は「セクハラヤジを飛ばした鈴木都議と同じ年」と始め、今回の問題が、平成11年の男女共同参画基本法施行から、何か進んで、何か停滞しているのか検証するきっかけになればいいと語った。またイクメンやワーキングママ、家庭内介護している社員等を応援出来るような上司を育てる「イクボス」事業を展開しているという。男性は仕事、女性は家庭という構図から、生き方、働き方が多様になってきている現在、お互いを認め合うことが幸せな国への近道だと話す。特に社会で決定権をもっている50代60代の男性が考え方を変えないと必ずシッペ返しを受けると指摘した。

次に現役女子大生の新居氏が登壇。新居氏は、これからママになる女子大生が安心して生きることができる社会をつくることをコンセプトに活動しているmanmaの代表。学生時代に、周りにいる女子学生達が摂食障害、心の病で倒れていく姿を見て、それが彼女たちの母親の自己肯定感の低さに起因するのではないかと考えたことから、「自分自身が幸せなお母さんになることが、幸せな子供をつくる」という考えを主軸に置き、活動を始めたという。若い女性が「30歳までに結婚しないといけない」という脅迫概念の一方で、「結婚したら仕事ややりたい事をあきらめなきゃいけない」というジレンマで葛藤していると指摘。自身の母親達の多くが専業主婦であることもあり、ロールモデルが欠落しているという。先の津田氏の「仕事も子育てもバリバリして、職場も理解があるというスーパーウーマンの事例ばかりで、もっと多様なロールモデルがあっていい」という発言を受け、様々な生き方をしている母親達に出会う場を設けていると新居氏。また今回のセクハラヤジ発言の鈴木議員は、まさに私達の父親の世代であり、交流不足も一因ではないかと指摘、お互いの歩み寄りも必要とした。

治部氏は、女性が働きやすい会社に対するリサーチや、経済的観点から女性の労働、教育についての取材等をおこなっている、ワーキングママ。自身を振り返り、仕事と母親を両立出来たのは、家庭・会社環境に恵まれたからと言う。この問題に関して、2つのアプローチが必要、と治部氏。まず「なぜ怒りを覚えたのか」の分析。治部氏は「(議員にも関わらず)知識の無さと、社会構図への無理解が理由」とした。次にどのような戦略をたてるかを説明。氏は、この問題に対して理解を示す(決定権を持っている)男性を積極的に取り込むこととした。そのためにはいろんな人と話をすることで、その際「だから男は、と敵対意識を持たず、あくまでもフレンドリーに」と付け加えると会場から笑い声が起こった。

第二部は、第一部を踏まえ、4つのテーマごとに参加者をグループ分けしてディスカッションし、対策を出し合うというワークショップ形式で行われた。各テーマと、主な対策は以下の通り。

テーマ1 女性に対する差別、人権侵害について考えよう
対 策 「(今回問題となった)議員のリコールをしよう」
「女性自身が声を上げても良いという教育が必要」
テーマ2 男性を巻き込もう
対 策 「男性vs女性、ではなく議論をしていこう」
テーマ3 メディアについて考えよう
対 策 「海外メディアの外圧を利用しよう」
テーマ4 アカウンタビリティ(説明責任)についてもう一度考えよう
対 策 「市民が発言する場をつくり、周知徹底させよう」
「政治家側にプレッシャーを与えよう」
「(こういうことを許さないように)制度、法案を変えよう」

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最後のまとめとして、津田氏は「日本の自浄作用が問われている」と言い、それは議員の意識、メディアに対してもそうであるし、今日の参加者の中にも偏見があるかも知れない。それをどう変えていくのか、が問われているとした。同時に、自浄作用というのは「悪い」という意識がないとそもそも働かない、その意味で日本のジェンダーギャップを解決していくには、差別、偏見が悪いことであると認識していない人が沢山いるということを認識したうえで、自浄作用を仕組みに変えていかなきゃいけないということを実感したと語った。

最後にハリス氏は、「ここで終わってはいけない、今は誰でもアクションを起こせる時代だから、みんなが自覚を持って次のアクションを起こしてほしい」と締めくくった。

文:横内陽子
写真:伏見十二

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