ネット選挙解禁となった昨年の参議院選挙からちょうど1年後の7月22日、JA共済ビルカンファレンスホールにおいて、、政治家、メディア関係者、IT企業関係者、ジャーナリストなど、ネット選挙に取り組んできた関係者約50名が参加して、解禁から1年となる現況の総括、今後の方向性や改善策等を議論するイベント、「ネット選挙フォーラム2014」が開催された。
公式発表では、セミナープログラムの総聴講者数は877名、ニコニコ生放送視聴者数は67,962人で、ネット選挙関連のイベントでは最大の規模となった。国会議員、地方議員からネット業界のビジネスマン、研究者、学生まで、幅広い年齢層が会場に足を運んだ。プログラムは10時から夜の8時まで、9つのテーマ毎に10分間の休憩を挟んで行われたが、ほとんどのプログラムに参加した人も多く見受けられ、関心の高さをうかがわせた。
フォーラム開始のプログラム第1弾は、「ネット選挙解禁から1年を総括!〜何が良かった悪かった?政治家のホンネ〜」と題し、各党から参加した政治家にネット解禁後の個人・所属政党の発信方法等を通じて、ネットの長所、短所を語ってもらった。司会は高橋茂(『ザ選挙』編集長、株式会社VoiceJapan代表取締役)。
参加者(登壇順)
福田峰之・衆議院議員(自由民主党)
国重徹・衆議院議員(公明党)
蓮舫・参議院議員(民主党)
佐々木憲昭・衆議院議員(日本共産党)
中田宏・衆議院議員(日本維新の会)
今井雅人・衆議院議員(日本維新の会)
行田邦子・参議院議員(みんなの党)
福田議員:個人のホームページは動画に完全シフト。その理由は選挙を戦うには人間性を出したほうが良いから。自民党としては、昨年の参院選時には、自民党配信のネット放送「カフェスタ」にて「参院選トクバン」を放送。さらに「あべピョン」というゲームを作成、自民党ホームページへのアクセスを誘い、好評を得た。参院選後も「カフェスタ」は放送している。またネット上の後援会である「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)」も発足させ、恒常的にネットで情報を発信している。また福田氏個人は、政治家が主体となって発信するネットテレビ局「日の出テレビ」の運営代表もしている。どちらの放送も継続して発信することが大切という。
国重議員:個人のホームページトップには自身のプロフィールを掲載、来訪者に自身の人となりを分かりやすく知ってもらうよう心がけている。また情報発信の際は、硬軟取り混ぜることを心がけているという。またマスコミが取り上げない、重要な情報を掲載するようにしている。
蓮舫議員:ネット選挙解禁から1年間、大手新聞の(ネット選挙への)評価をみていると概ね失敗と判断しているが、そもそもの解禁目的は「お金のかからない選挙」だったはずで、投票率の低さ云々は別の問題と考えている。政党としては、地道にネットを通じて有権者との「双方向」をやっておくことが重要。個人的にはフェイスブック、ツイッター、LINE、メール、それぞれの特性を理解して使い、伝えることを心がけている。政治家・政党と有権者の「双方向性」が重要で、それが選挙時に有効なメディアとなれるかが、次の課題と考える。
佐々木議員:自身のホームページの役割は「データベース」。配布した資料等、誰でも見ることが出来るようにしている。またフェイスブックとツイッターは内容を連携させている。それぞれのメディアの役割を理解し、かつ連携させることが大切。何を発信するか、その内容が重要。
中田議員:コンテンツが重要と考えており、まめに更新している。メディアが報じていないこと、メディア情報で鵜呑みにされては困る事に対して、個人で発信出来る重要なツールと考える。またネット選挙の長所はコストがかからず、(立候補も含め)選挙にかかわるチャンスを増やしてくれる点。一方で、アナログメディア(紙媒体等)との共存から倍のコストがかかる点は、早く整理していかなくてはならない。
今井議員: 私の選挙地区である岐阜は、ネットを見る人が少ない。ネットは土地柄によって効用が違う。地元ネタを書くとアクセスが増えるので、フェイスブック上で友人を作り、地元に特化したグループに積極的に入っていくようにしている。
行田議員:参院選では、個人ビラ・ポスターに加え、ネット選挙対応でダブルでお金がかかってしまった。解禁の内容に関しては、メールも全面解禁してほしい。さらに政見放送に関して、リハーサルなしで1回しか取り直しが出来ない等、縛りが多いうえに放送回数は少ない。各選挙管理委員会のホームページで動画掲載してほしい。フェイスブックでは、地元の話題や自身の活動をタイムリーに掲載している。
最後に高橋から「ネット選挙解禁で、今後の政治家の情報発信は変わる?」の質問に、福田氏だけが「変わらない」と答えた。その理由は、「ネットの使い方、情報発信等、政治家の意識改革が必要。特に来年の統一地方選挙に関して、地方議員が情報発信の重要性をもっと知ってほしい」と結んだ。
プログラム第2弾は「若者の投票率は低い?〜政治家と若者のギャップと18歳選挙権の行方〜」。プログラム第1弾に続き、高橋がモデレーターを務めた。
参加者(登壇順)
原田謙介(NPO法人YouthCreate代表)
青木大和(僕らの一歩が日本を変える。創設者兼代表)
増沢諒(食べる政治 代表)
斎木陽平(一般社団法人リビジョン代表理事、Teen’s Rights Movement)
最初にそれぞれの自己紹介を兼ねて活動の紹介をしてもらい、次に、投票率を上げるためにはどうしたら良いか、また18歳選挙権の実現可能性などを聞いた。
18歳選挙権には若い世代にも賛否両論あるが、18歳で投票を行うことの大きなメリットとして「最初の選挙が地元で投票できる」ということがある(斎木)。初めての選挙に行くことにより、2回目、3回目と続けていく可能性が高まる。また、原田氏は、投票率を上げるためには候補者情報の充実が必要だと主張した。
青木氏や増沢氏は、若者の政治への感心を高める試みをしている。原田氏が始めたことが、様々な形で若い世代に広がっていくことが分かるプログラムだった。
このあと、午後には7つのプログラムを実施、熱い議論が交わされた。
●プログラムの詳細はこちら:ネット選挙フォーラム2014公式サイト
当日のようすは、ニコニコ動画でタイムシフト試聴できます。
また、今回紹介したプログラムは、『ザ選挙』サポート会員向けに、動画公開の予定があります。
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