〜惜敗率とは「惜しかったなあ」という割合〜
衆議院選挙の当選者は475人
(小選挙区295人、比例区180人)
選挙区は、ひとつの選挙区内で最も多く票が入った人が当選するのでわかりやすい。
では比例区はどうしたら当選が決まるのでしょう?
同じ「比例区」と言っても衆院選と参院選では仕組みが異なります。
ここでは衆議院選挙の比例区について説明します。
衆院選での比例区投票では、候補者名を書いてはいけません。政党名のみです(逆に参院選では比例区に候補者名が書けます)。
衆議院の場合、比例区は11の「ブロック」(北海道、東北、北関東、東京、南関東、北陸信越、東海、近畿、中国、四国、九州)に分かれていて、ブロックごとの政党得票数から、政党ごとに「当選者(議席)数」を決めます。政党に所属していない人は比例代表にはなれません。
当選者数の決め方は「ドント式」と言って、このページの下で説明していますので、興味のある方はあとでご覧ください。
政党ごとに何人当選したかわかったら、今度は当選者を決めます。
通常は、政党が公示日に届け出た名簿順に沿って決めていくのですが、やっかいなことに同じ名簿順の人がいる場合があります。
なぜ同じ名簿順になっているのかというと、選挙区と比例区の両方で立候補した人(比例重複)には、同じ名簿順を付けることができるからです。
「AさんもBさんも名簿順では差をつけがたいなあ」という場合にこの方法を取ります。
では、同じ名簿順の場合はどうやって当選者を決めるのでしょう。
選挙区で落ちた人の中で、惜敗率(せきはいりつ)の高い順に当選を決めていきます。95.3% とか74.2%という感じに表されます。
惜敗率とは、文字通り「惜しかったなあ」という割合です。
正確には「小選挙区における当選者の得票数に対する落選候補者の得票数の割合」となります。
つまり、選挙区で当選したA候補と次点だったB候補が同じ票数だったら100%。でもそんなことはありえないので、接戦だったら95%とかになるわけです。
同一順位の場合は、まず選挙区ですでに当選した人を外し、残った人(選挙区で落ちた人)の中から惜敗率の高い順(惜しかった順)に当選者が決まるわけです。
比例単独:比例区だけに立候補すること。たいていは自動的に当選させたい大御所か予想以上に議席が取れてしまった場合の予備のどちらかになる。
比例重複:選挙区と比例区両方に立候補すること。選挙区の立候補者なんだけど、選挙区はひとりしか当選できないので、接戦で負けてしまったらかわいそうだから、なんとか選挙区で落ちても復活させたい、という仕組み。供託金は選挙区、比例区それぞれ300万円ずつかかる。
比例復活:選挙区で落ちてしまったが、比例区で当選できた人。一度落ちているので「復活」となる。
惜敗率:選挙区で当選した人にどれくらい迫っているか表した率。計算は簡単で、「当人(落選した人)の票数÷当選した人の票数」となる。ただ、政党に割り当てられた議席数や、同一順位内での惜敗率の出方によって事情が大きく異なるため、95%以上で落選することもあれば、30%程度で当選してしまうこともある。
名簿順位:政党が届け出る比例代表の順位。比例重複立候補者は同じ順位にできるので、たとえば同じ順位の人が10人いるのに5議席しか取れなかったら、「惜敗率」の高いほうが上位になる。
具体例:
比例ブロックの議席数:6
政党数:5
A党 | B党 | C党 | D党 | E党 | |
獲得票数 | 1200 | 900 | 600 | 420 | 300 |
1で割る | (1) 1200 |
(2) 900 |
(3) 600 |
(6) 420 |
300 |
2で割る | (3) 600 |
(5) 450 |
300 | 210 | 150 |
3で割る | 400 | 300 | 200 | 100 | 100 |
この場合、A党とB党で二人ずつ。C党とD党でひとりずつの議席獲得となります。
E党は議席獲得できません。
たとえば、B党の名簿2位の候補者は得票数100票でも当選ですが、E党の名簿1位の候補者は得票が200票でも当選できません。
解説:高橋茂(『ザ選挙』編集長、武蔵大学非常勤講師)
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