選挙ドットコム

間違いだらけのネット選挙〜動画を見ると陣営のユルみがわかる

2014/12/15

アバター

選挙ドットコム

今回は、ネット選挙運動が解禁されて初めての衆院選となった。昨年の参院選では手探り状態の付け焼刃的な対策を立てている候補者がかなり見受けられたが、今回は短期間であったにも関わらず、効果的に使っている候補者も見られた。しかし、おそらく本人だけでなくスタッフや業者も理解していないのではないかと思えるようなものも多くあった。

ここでは、そんな事例を紹介していきながら、「ネットをどう活用していくか」考えてみたい。毎週どこかで行われる自治体選挙や、2015年の統一地方選挙に向けてネットの活用を考えている候補者にとって、少しでもヒントになれば幸いだ。

■動画はただ撮ればいいってもんじゃない

最近は、スマホで簡単に動画撮影ができるので、動画を自分のウェブサイトに掲載している候補者が増えている。コンテンツのほとんどを動画にしてしまった候補者もいる。たしかに大量の文字を読むより、写真や動画を効果的に使ったほうが、より当人の人柄がダイレクトに伝わりやすい。

しかし、動画を撮影する人は対象となる候補者しか見ていないが、実はスタッフも映ってしまうことに気がついていない場合が多い。

例えば以下はある候補者の街頭演説の一コマである。

video2012121501

候補者の後ろで、同じ色のジャンパーを着たスタッフらしき人が車に顔を突っ込んでいる。このスタッフは、候補者の演説の間中、知り合いと思えるスーツ姿の男性と談笑し、その後は車の中のスタッフと話をしているように見えた。

普通は気がつかないところかもしれないが、これを見たとき、「ああ、この候補は大差で負けるな」と思った。前回の衆院選で負けてから2年間、地元の有権者に向けて自分の活動を伝えていたという話も聞かなかった。すでに情勢は厳しいと言われていて、陣営は緊張感に包まれているはずなのに、このダラけた雰囲気では差を縮められるわけがない。談笑している暇があるんだったら、チラシを抱えて人混みに飛び込んでいくくらいでないと、道行く有権者には何も伝わらないのだ。

結果としてこの候補は、前回とほぼ同じくらいの票しか取れず、またダブルスコア以上の差を付けられて惨敗した。決して候補者に力がないわけではない。むしろ当選した候補よりも私はずっと期待できると思っている。期待していただけに残念で仕方ない。前々回は風に乗って勝つことができたが、そのときの雰囲気から何も変わっていないため、一度負けパターンに陥ると、根本から変えなければそれを繰り返すだけになってしまう。

たった1分半のビデオだが、ビデオは決して候補者を効果的に見せるだけではなく、見せてはいけないものまで見せてしまうことも考えておかなければ、意味が無いどころかマイナスになることもある。また、一瞬のビデオで陣営のやる気までわかってしまう。これでは効果が上がるわけがない。

 

筆者:高橋茂
『ザ選挙』編集長。電子楽器のエンジニアから2000年の長野県知事選挙を経て、政治家の情報発信の専門家となり現在に至る。株式会社VoiceJapan代表取締役、株式会社世論社代表取締役。武蔵大学社会学部非常勤講師。政治家やNPOなどの活動サポートの傍ら執筆、講演など活動は多岐にわたる。
現在、Facebook上にて会員制オンラインサロン『ザ選挙サロン』を運営している。

ザ選挙サロン
senkyosalon3

この記事をシェアする

アバター

選挙ドットコム

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

My選挙

あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。

採用情報

記事ランキング

ホーム記事・コラム間違いだらけのネット選挙〜動画を見ると陣営のユルみがわかる

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_white選挙ドットコムHOMEicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twittericon_twitter_whiteicon_youtube