５年目に向かって

2006年に立ち上がった『ザ・選挙』は、途中１年間のブランクを経て、2011年3月3日に新しい『ザ選挙』として再スタートしました。そして今日から５年目に入ります。

この４年間を振り返ってみると、新生スタート直後の2011年３月11日には東北の大震災があり、昨年４月には初代『ザ・選挙』生みの親である竹内謙氏の死去といった不幸もありましたが、リニューアルを続けながらなんとか乗り越えて、やっと４周年を迎えました。

統一地方選は「文明転換」の出発点に（竹内謙　2011年３月23日）

この４年間というのは、選挙の世界ではオリンピックのように大きな区切りになります。それは統一地方選挙があるからです。今年は４月に979の選挙が行われます（NHKのまとめによる）。

日本ではほとんど毎週のように全国どこかで選挙が行われていますが、通常はもちろんそれほど多くなく、「ミニ統一選挙」と呼ばれているときでも100程度です。それでも『ザ選挙』では、全国の選挙管理委員会のご協力も得ながら必死にデータベース化を進めています。

■『ザ選挙』この１年　会員制とモギ選挙

この１年間、『ザ選挙』では通常のマイナーバージョンアップの他に、大きな変化がありました。

ひとつは、会員制の見なおしです。すべてのサービスを無償でご提供させいただくのが理想ではあるのですが、サーバーを始め、人件費や各種経費でかなりの費用が選挙データベースの作成・維持管理にかかっています。この事業を少しでも長く続けるためにも、どこからかご負担をお願いしなければならない。そこで、現在そして直近の選挙データは今までどおりに無償でご覧いただけることにして、過去のデータや特別なサービスは会員の皆様にご負担いただいて、それを『ザ選挙』継続の原資にしていこうと考えました。

ザ選挙のサービスが新しくなりました！（ザ選挙編集部　2014年10月１日）

現在は、過去データに加え、選挙・政治家の詳細検索、モギ投票の実数確認といったサービスを提供させて頂いていますが、今後も新たなサービスを検討していきます。

もう一つは、「モギ投票」の実装です。以前から実際の選挙において、何かしらのインタラクティブな要素が欲しいという要望はいただいておりました。最初は選挙ごとにコメント欄を設けることも検討しましたが、誹謗中傷やデマ対策が完全にできないと大きな問題に発展する懸念もあったため、もう一つの大きな要望であった「模擬投票機能」を実現させました。

モギ投票とは

模擬投票はすでに行われていることですが、全国で行われるすべての選挙を対象にしたものはいまだかつて存在しませんでした。さらに、運用方法によっては実際に選挙に影響が出ることが心配されたり、公職選挙法に抵触するなどといった懸念もあり、選挙を扱うネットメディアではタブーとされておりました。それを細かく分析・検討・対策し、とうとう実装することができたのです。

■ネット選挙運動のこれから

2013年のネット選挙運動解禁から１年半が経過し、昨年末には解禁後初の衆議院選挙もありました。国政選挙では、候補者のインターネット活用が当然のこととして行われる状況になってきましたが、なかなか地方選挙においては盛り上がりが見えてきません。

ネット選挙運動というのは、選挙のときだけインターネットを活用すれば良いというものではなく、日頃の政治活動からの延長で考えなければならないということがわかってきています。つまり「付け焼き刃ではダメだ」ということです。その意味では、今回の統一地方選挙で、いきなり地方選挙においてもネット選挙運動が大きく盛り上がるということは無いでしょう。

しかし、すでに候補者のウェブサイト開設率は上昇傾向にあり、そして試行錯誤を繰り返しながら活用スキルも上がってきています。徐々に向上していけば、どこかにブレイクポイントがあり、そこを超えたときに一気に政治家のインターネット活用がやっと実用的なレベルに突入し、それに引っ張られるように有権者側の意識も大きく変わるはずです。統一地方選挙は、そのための大きなきっかけになるはずです。すでに、「やっている人」と「やっていない人」の差ははっきり出てきてきます。

「１８歳選挙権そして『ザ選挙』のこれから（後編）」へ続く