先日、選挙啓発に取り組む「明るい選挙推進協会」から、全国の若者を対象に行った意識調査の結果が発表されました。特に気になるのは、住民票を移さず下宿などしている大学生の多さ。
社会人と違い、大学生は下宿先に居住し続ける可能性が低く、住民票を移すことに抵抗を感じるのかもしれません。ただし選挙では住民票の所在地が投票に影響してきます。
そもそも投票できる選挙の種類や投票場所は、住民票の所在地が基準となります。住民票は住民基本台帳にまとめられ、3ヶ月以上台帳に記録されて初めて選挙人名簿に登録(※)されます。18歳以上で選挙権が得られるようになるといっても、選挙人名簿に登録されなければ投票権の行使ができません。
住民基本台帳法では、引っ越しなどで住所が変わった場合、住民票の移動(転入届の提出)は、14日以内に行うことが義務付けられています。学生であっても、実家に戻る予定がなければ、住民票の移動は原則として必須です。手続きが遅れた場合、過料という最大5万円の罰則を受ける可能性がありますので注意が必要です。ただし、
- 学生(実家を離れている)の期間が1年以下の場合で、今後実家に戻る予定がない場合
- 学生の期間が1年以上であっても、週末や季節ごとに実家に帰っているなど、「生活の本拠(拠点)」が実家にある場合
については、住民票を移してなくても問題ないようです。(※詳しくはこちら → 住民票ガイド)
そこで住民票を移していない学生は、来年7月予定の参院選の投票をどうするのかという問題が出てきます。まだ夏休みに入っていない学生は、帰省もしづらい上に下宿先の自治体では投票ができません。
そこで紹介したいのが「不在者投票」制度。期日前投票と同じく事前投票の一種ですが、これを利用すれば帰省せずに投票することもできます。手続きは以下の通りです。
1.住民票所在地(=地元)の選挙管理委員会に連絡
2.地元選管から「不在者投票宣誓書兼請求書」が届く
3.届いた請求書に記入して地元選管に返送
4.地元選管から「投票用紙」が届く
5.投票用紙を持って下宿先自治体の選管に行き、投票する
6.投票用紙は投票場所の選管から地元選管に送付される
以上で、投票完了となります。以前紹介しました期日前投票と違って、手続きにはちょっと時間がかかります。
期日前投票は簡単→「実は手ぶらでも投票できます!?期日前投票が本日スタート(埼玉県知事選特集)」
不在者投票は遠方で下宿している学生にはありがたい制度です。ただし時間的余裕を持って準備する必要があること、住民票を移していない大学生の不在者投票は地域によって対応が一貫していない場合もあることなどから、制度利用の際には注意が必用です。
確実なのは、やはり住民票を移して居住地で投票すること。その手続きを学生自らが体験することで、自律的な意識が育まれ、選挙権を行使する自覚も生まれてくるのではないでしょうか。
なお参院選投票日と予想されている2016年7月10日に投票資格を得るには、その年の3月22日以前には住民票を移し終えている必要があります。これは選挙時登録日(※)が公示日の前日とされているため、7月10日が投票日なら、6月23日の公示日となり、6月22日が登録日で、その3ヶ月前が3月22日となるからです。春の引っ越しシーズンに合わせて、住民票の引っ越しも検討してみてはいかがでしょうか?
(※)選挙人名簿への登録は、毎年3月、6月、9月、12月の2日に行われる「定時登録」と、選挙前に行われる「選挙時登録」があります。
【訂正】
当初「2016年7月10日に投票資格を得るには、その年の4月10日以前には住民票を移し終えている必要があります。」としておりましたが、日付けに誤りがあり「4月10日」を「3月22日」に訂正いたしました。また選挙人名簿の登録時期について説明を加え、より分かりやすく説明いたしました。
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