来夏の参院選から導入される選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げ。高校3年生の一部が有権者となり、投票活動や選挙運動にも参加できるようになることから、学校現場での主権者教育の充実が求められています。
学校で使用される教材は、総務省と文部科学省が「選挙の意義」や「選挙制度の仕組みの解説」、「模擬選挙など実践的取り組みのためのワークシート」などの副教材を制作中で、年内にも全学年の高校性に向けて配布が予定されています。また指導のポイントなどが記載された指導用テキストの制作も進められています。
一方で、教育にあたる教師の「政治的中立性」に注目が集まっています。
報道によれば、民主党の文部科学部門会議は基本方針として、「『政治的中立性』という言葉に縛られ、現実にある課題や争点を避け、学生の思考力、判断力の涵養(かんよう)を怠るような教育のあり方は『主権者教育』とは言えず、再構築されるべき」と明記したとあります。
・「18歳選挙権 民主、学校教育は『政治的中立性に縛られるな』」(6月23日産経)
一方、自民党の文部科学部会では、提言の中に「教員個人の考えや特定のイデオロギーを子どもたちに押しつけるようなことがあってはならない」と明記し、「政治的中立性」から逸脱した高校教員には罰則を科すとして、教育公務員特例法の改正を求めたとあります。
・「教員の政治的中立「違反に罰則を」 選挙権18歳で自民」(7月3日朝日)
・「選挙権年齢の引下げに伴う 学校教育の混乱を防ぐための提言」(7月8日自民党政務調査会)
これに対し自民党の船田元・憲法改正推進本部長は講演の中で「最初から罰則を設け、法律改正で政治的中立を学校に求めるのはいかがなものか」と発言し、「政治を何も教えないことが『中立』と曲解されている。それは無菌状態の若者をつくり、なんか変な雑菌がきたらすぐに病気にかかる」として「いろんなばい菌を学校に持ち込み、若い人々に免疫をつけることが主権者教育だ」と述べたと伝えられています。
・「主権者教育『いろんなばい菌で免疫を』 自民・船田氏」(7月9日朝日)
教育の「政治的中立性」とはどうあるべきなのか。主権者としての自覚を早い段階から持たせることが求められる一方で、実際にどの政党、どの候補者に投票してよいのかということに正解はありません。また教師がどこまで主権者教育を丁寧に行えるのかについても現場の模索は始まったばかりです。選挙ドットコムでは来夏の参院選に向け、学校現場での取り組みなども含め、引き続き18歳選挙権について特集を組んでいきます。
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