自民党総裁選(9月8日告示、20日投開票)まであと1週間と迫る中、安倍晋三首相(自民党総裁)は昨日、再選を目指し総裁選に立候補する意向を正式に表明しました。
安倍首相は総裁選について「まだ道半ばであり、景気回復の実感を全国隅々まで届けていくための、地方創生等の課題は山積しています。少子化対策もそうだと思います。継続は力であり、しっかりとその責任を果たしていくために、政策をさらに進めていきたい」(*1)と立候補する決意を述べています。
自民党総裁選で投票権を持つ国会議員は衆参合わせて402人。党内には安倍氏の出身派閥で第1派閥の細田派をはじめ、岸田派、麻生派、二階派、石原派、山東派の全7派閥があります。この全ての派閥(約280人所属)が安倍氏の再選を支持しており、すでに国会議員票の約7割の支持を固めていると言えます。
その他、派閥に属していない谷垣幹事長や、石破地方創生担当相も安倍氏の再選を支持すると見られています。
以前から対抗馬として取り沙汰されていた石破氏や岸田文雄外相は、すでに不出場の意向を固めたと報じられていますが、野田聖子前総務会長の動向に注目が集まっています。8月28日の自身のブログでは、
「先進国 日本の総理大臣を無投票で決めることは、国民を馬鹿にしている。
安倍総理だって総裁選による信認が欲しいはず。
国際社会の責任ある一員として外交で力量発揮するためには、当然。
そんな政治と国民のあたりまえの関係を守ろうとしているだけ。
だけど、
永田町は、なんだか違う。」
と対抗馬が立たない現状に対して不満を綴っています。
さらに、昨夜都内で開かれた政治資金パーティーで野田氏は「いまの私の心は『義を見てせざるは勇無きなり』。この言葉に尽きると思います。」(*2)と論語の一節を引用しながら、立候補の可能性を示唆しました。8月31日には、野田氏の事務所スタッフが総裁選挙管理委員会を訪れ、立候補に必要な書類一式を受け取り持ち帰ったとも報道されています(*3)。
ただし、総裁選に出馬するためには党所属国会議員20人の推薦人が必要で、無派閥の野田氏にとっては極めて高いハードルとなっています。しかも安倍氏とは政策的な立ち位置が異なり、推薦を期待できそうな岸田派や二階派の所属議員も、安倍氏の再選支持に動くと見られ、野田氏が推薦人を得られる可能性は未だ見通しが立っていません。
なお、総裁選候補者が安倍氏1人だった場合は投票は行われず、告示日に再選が決まります。自民党の総裁選は事実上、日本の最高権力者である首相を選ぶ選挙と言えますから、過去にもさまざまなドラマが繰り広げられてきました。総裁選告示まで1週間を切る中、党内でどのような駆け引きが行われるのか、告示日まで目が離せません。
(*1)首相 自民党総裁選への立候補の意向表明(9月1日NHK)
(*2)「私の心は『義を見てせざるは勇無きなり』に尽きる」 野田聖子氏が出馬に意欲 あいさつ全文(9月1日産経)
(*3)自民党総裁選 野田聖子前総務会長、立候補に向け準備(9月1日FNN)
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