日本歯科医師連盟(日歯連)の政治資金を巡る事件が話題となっているため、日歯連のホームページがなかなか開きません。東京地検特捜部は30日、政治資金規正法違反(虚偽記入、量的制限違反)容疑で前会長ら3人を逮捕しました。構図が分かりにくいので、整理してみましょう。
全国の歯科医師社会を代表する唯一の総合団体が日本歯科医師会で、その理念や政策を実現するための政治団体が、今ニュースになっている日歯連です。会員は5万人を超え、会費収入は年間約10億円と言われています。ホームページのトップには「連盟活動を通して歯科界を健全な方向へ導くことが我々の役目です」として「選挙 ロビー活動」という文字も表示されています。
特捜部の調べでは日歯連は2件の疑いが持たれています。
1つ目は、2010年5月に日歯連が西村まさみ参議院議員(民主)を後援する日歯連関連の団体に寄付した1億円のうち、5000万円を民主党政党支部を経由して寄付したように見せかけるため、収支報告書にウソの記載をした疑い。
2つ目は、2013年1月に日歯連が石井みどり参議院議員(自民)を後援する日歯連関連の団体に寄附した9500万円のうち、5000万円を西村議員を後援する団体経由で寄附したように見せかけるため、収支報告書にウソの記載をした疑い。
なお、両議員は共に歯科医師として参院選比例区で当選しています。
5000万円という金額がキーポイントになっているのは、政治資金規正法(第22条)の以下の条文で寄附の量的制限が5000万円とされているからです。
「政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対しては、五千万円を超えることができない。」
ちょっと分かりにくいので、総務省の資料を見てみましょう。
このように、政治団体間の寄附には金額の制限があるということです。日歯連という政治団体は2つの後援団体に対し、本来なら年間5000万円までしか寄附できないところを、それ以外の政治団体に寄附したと見せかけるための「工夫」をして、制限額を超える寄附をしたと見られています。
そもそも、政治団体間の寄附上限を5000万円とする今の政治資金規正法は、2004年に発覚した日歯連の自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件をきっかけに、2005年に改正されたものです。
事件の全容はまだ明らかになっていませんが、繰り返される政治とカネの問題について、有権者の目は一層厳しいものになることは間違いないでしょう。
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