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投票率を上げるには、見返りが必要 or 投票を義務化?「10代の若者は選挙をどう変えるのか」イベント報告【中編】

2015/11/2

小窓(ペンネーム)

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若者が選挙に行くためにはインセンティブ!?

西:アンケートでは、来年の参院選で18歳選挙権が実施されることを知らない学生が9%いました。

原田:これはマジ知ってほしいよね。来年7月までにゼロにしなきゃ。

高橋:でもさ、「知らない」と答えた人はこの質問で知るから、知らない人はゼロになるよね。

原田:そうか。このアンケートをやりまくればいいのか。

西:「どうすれば、来年の参院選で若者が選挙に行きますか?」という質問もしました。すごい反応でした。「お金」「お菓子」「クオカード」「優待券」など「見返りがあればいく」ということでした。

高橋:政策は関係なく、例えば投票会場で福引をやって「ハワイに行けるかも!」というインセンティブがあったら行くんじゃない? でも、そうなれば誰が(選挙に)出ているか、どういう人に入れようか? となるから、まず投票に行く。そこから始めるというのは必要かも。「何かもらえたらいいな」というのは自然なことかもしれない。

西:アメリカとかでは、実際に投票に行った人1人に100ドル? 100万ドルだったかな? 1万ドルかをどこかの人があげることをやっていて、あと、投票率が低いので、行政がやっているもの宝くじ的なものは最近、アメリカでは増えてるんですよ。日本では、民間で「投票済証」を使った選挙割というのがあって、投票に行った証があれば、コーヒーが少し安くなるとか、そういうことはあるんですよ。

西:もらえるんですね。「投票済み」みたいな紙が。

原田:日本では、行政がそういうことをやるのは非現実的かもしれないですけど、それなら誰かがやればいい。実際にアイスの会社は「投票に行けばタダになります」というキャンペーンをずっとやっているし、椿山荘を運営している会社も、投票済証を持っていけば宿泊とか安くなるというのをやってるんです。でも、投票率は上がらないんですよね。だからこれ、(見返りを)もらっても、500円や千円くらいじゃ行かないんですよね。

投票の義務化に罰則!?

西:次に多かった意見は「投票の義務化」でした。選挙に行かなければ罰則を与える「オーストラリアのような制度をやる」という意見を見て、僕は初めてそういうものを知ったんですけど、どうなんでしょうか。

高橋:田舎では日曜日の朝8時に集合で自治会のゴミ拾いとかがあって、でてこなかった人は2千円を払う「出不足金」という仕組みがあります。選挙もそうなれば、多少は投票には行くかもしれないけど、やり方がめちゃくちゃ後ろ向きだよね。そうしても「2千円払っても家で寝てた方がいい」という人も出てくるだろうし、行かない人は行かないんだから、特効薬はなくて、色々な案を全部やれば、トータルで投票率は多少は上がるという感じでは。

原田:「義務化」は、よくいわれるんですよね。そこまでしないと上がらないのではないかと。でも、義務化している国は、どうやって広報するか、情報を取れるか、そもそも選挙制度で、どうやったら若者が投票に行くのかを考え抜いてますから。今の日本は、制度がない中で急に「義務化」といっても、それを政治家や行政が考えると制度が逃げに行きすぎるし、もっとやれる事がいっぱいあるのにやらなくて、義務化したいというのはずるいと思います。

高橋:義務化にすると「行かなくちゃいけないな」と思う人が出るじゃないですか。そうすると候補者は誰? となったとき、市議会議員とかは、そもそも情報がないんですよ。投票に行きたいのに情報がないじゃないか! という声が上がることによって、それはそれでメリットがでてくるかも。

原田:政治家からもたまに質問されることがあるので、「原田さん、義務化が必要だと思うんですよ」とかいう人は思考停止だなと、やんわりとお返ししますよね。

高橋:選挙の投票率を上げようという活動をしている「明るい選挙推進協会」(明推協)という団体があって、これが上手なやり方をしていないんです。選挙を盛り上げるために、駅前でティッシュを配ったりして、選挙の啓発運動をするんですよ。1度、そこの事務所に行ったんですけど、まぁお役所だなと。本気でやるなら、候補者情報をもっとネットで流すような仕組みを作るとか、そういうことをやればいいのに。ティッシュを配って選挙に行く奴はいないだろうなと。そういうやり方を見直して、全体的な情報から変えていかないと、行こう!となったときに、情報がないんだったら、「じゃぁ行かないわ」となるのでは。

高齢者の数が多すぎて、若者の声は届かない?

西:高齢者が多く「シルバー民主主義」といわれる中で、投票に行っても自分の1票なんてちっぽけなもので、意味がないのでは? という意見も結構ありました。

高橋:通常、投票は国民1人1票だけど、ジェネレーションによって差をつけてもいいのでは? と思ってるんです。20代の人たちは、これから40〜50年、日本を背負っていかないといけないから、1票より多くする。20〜30代が投票したら、×1.2で計算して、50代以上は、×0.8で計算する。この案をFacebook投稿したら「お母さんが悲しむわよ」とか「今まで日本を背負ってきた人たちの苦労を無駄にするのか」といわれたんだけど、その人たちを敬う・ないがしろにするという話ではなくて、若い世代の1票の重みを、もっとつけてもいいのではないか? そういう提案をしたらどうか? ということ。

西:「選挙年齢に下限があるなら、上限もつけろ」というコメントもありました。

高橋:老人が若者のためになる政治家に投票すればいいんだけど、田舎なんかだと、自分の家の前の道を舗装してくれるような政治家に投票する人が多い。中には未来のことを考えている人もいるけど、そういうことを若い人がいうと多分、怒られます。でも「いいこというな、応援するよ」という人が出てくると、それで変わっていくと思うんですよ。気にしないで声を出してほしい。

原田:投票方法の中には、ドメイン投票といって、お母さんは子どもの分も投票できるというものがあるんですよ。19歳以下の子どもがいるお父さんお母さんは、子どもの分を代わりに投票するんですよ。国によってはこれを導入するかどうか議論されたことがあって、少し前に流行ったんだけど最近、全然、話題にならない。

高橋:デンマークでは妊婦が2票もてるという法案をだして、成立しなかったけど、真剣に議論されたんですよ。1票について、一度、社会の授業の枠を抜けて考えてみると面白いことが出てくるんですよ。

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小窓(ペンネーム)

小窓(ペンネーム)

20歳頃から出入りしていた編集部から声をかけられたことをきっかけに雑誌編集者となり、Web編集者に転じる。その後、ひょんなことから取材活動を始める。現在、政治を勉強しながら執筆活動など。猫2匹と同居中。

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