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「18歳からの選挙を考える〜10代の若者は選挙をどう変えるのか〜」
<司会>
武蔵大学社会学部メディア社会学科3年 西浩平さん
武蔵大学社会学部メディア社会学科2年 内田夏帆さん
<ゲスト>
原田謙介さん:学生団体ivote元代表、NPO法人 YouthCreate(http://youth-create.jp)代表 大学時代の2008年に学生団体を立ち上げ・2012年にYouthCreateを設立し、若者と政治をつなぐ活動をする。29歳。
高橋茂さん:株式会社Voice Japan代表取締役(http://voicejapan.org/company-2/profile)、武蔵大学非常勤講師 2000年の長野県知事選をきっかけに、政治に関わる。2006年に選挙情報サイト「ザ・選挙」を立ち上げる。55歳。
西:ネット上で政治的な発言をする友人・知人は、ほぼみかけないです。政治の話は若者のなかでタブーなんでしょうか。それとも無関心なのでしょうか。
原田:そもそも政治に関心を持つとか投票に行くことが当たり前になって欲しいし、「選挙に行く人の方がモテる」くらいの時代になって欲しいと思うんですけど、おそらくモテないですよね。俺の経験上、モテてないので、そうなってないですよね。選挙の話を普通の場ですることはダブーで、あまり皆んな興味もなさそうだし。でも、興味も関心もなくはないと思っていて、もっといろんな話をしやすい状況や場を作っていこうということを考えています
西:僕の親はどこに投票したかは「家族間でも話さない方がいい」というのですが、そういうことが若者の政治に対するタブー感に影響しているのでは。
内田:うちの親も、聞いても教えてくれないです。
原田:僕の親ね、投票とか行ってなかったと思うんですよ。そういう話もなかったし。海外では選挙権年齢が16歳の国があって、なぜ投票に行ったのかアンケートをとると、家族と話をしていたからと。本当は、家族や身近なコミュニティで政治の話をすることは大事だといわれているんですけど、その辺があまりうまくいかない。
西:アンケートでは、友人と政治や選挙の話をするかどうかも聞いています。僕はその話題をだそうとしてるんですけど、反応が薄いです。
高橋:6〜7年前に講座を開いた時に、佐賀県の大学の学生が2人参加してて、「僕らは政治関心があるけど、大学でその話をすると変人扱いされる」と言ってたのね。ただ、そういう変人を全国から集めれば、数百人〜数千人はいるわけですよ。昔は、大学の中の変人を集めて学生運動をやっていくんですけど、今ならインターネットを使って繋がれるから、やればいいんじゃないの? という話をしたんですよ。
西:SEALDsがまさにそれですよね。
高橋:SEALDsは、ネットがない時代だったらでてこない。今は「何月何日に国会前」とか、抗議行動というのはほとんどネットで知らされる。それで10万人とか集まるわけだから、実は今ものすごい革命が起きてるんです。こんなに何回も10万人規模の抗議が起こるというのは、昔では考えられないことですよ。
西:60年代安保の時はネットはないですよね。
高橋:その頃はいろんな会報誌とか、ネットに代わるコミュニケーション手段があったんです。「あそこに行けば話を聞いてくれる人がいる」と。そういうところに人が集まって、口コミで広がっていった時代なんですよね。
原田:少数の人たちが普通の場に戻っても、少数派なままなんですよ。僕がやり始めた時は、まだSNSとかがなくて、相手が政治に興味があるかどうか分からないけど、言いまくるしかなかった。だからこそ、興味のない人にも広がったという側面があるんですよね。今は、政治に興味がある人同士が集まってしまうから、普通のコミュニティに政治の話題を広げるアプローチをあまりしてないのでは。でも、メディアでは「高校生が政治に興味を持って300人が集まりました」となる。もしかしたら、そうでもないかもしれないですよね。
高橋:昔はいろんなセクトとかがあって、「革命を起こす」「政府を倒す」と、そこまでしないと日本は変わらないと思っている人もいっぱいいたんだと思う。でも今は「政府にもう少し考え直してもらいたい」「こういう政策を通して欲しい」という部分でデモをやるから、「国会に突入して殴っちゃうぞ!」から「声をあげるからみんな集まれ!」という風に変わってきてるんじゃないかと思う。
西:どうしたら若者は政治に関心を持てるようになりますか。
原田:選挙権年齢が18歳に下がるということだけでもすごいことなんですよ。昭和44年の安保闘争の盛り上がりをきっかけに、高校生が政治に手を出すことはダメということになって今がある。それが今年、30〜40年間の断絶が溶けるんですよ。今まで政治教育がされていなかったことが大きく変わるので、その変化をポジティブに受けてほしいし、声を上げたい・上げようと思ったら、どんどん上げてもらえばいい。意見までは持てなくても、疑問を持って欲しいと思ってます。そして、できればその疑問を発信してほしい。同じ疑問を持っている人はいっぱいいるし、発信することで誰かが答えてくれる
高橋:若い人たちはやっと今、声を出せる環境にあるということを意識して、今までのしがらみや決められたものを一旦外して、自分たちの心配・不安をどう政治に結びつけていくか。声を上げられるインターネットという武器を手にしたということを意識してもらいたいなと。これから使えるものがネット選挙や18歳選挙権。それを、その先につなげていければいいなと思います。
内田:私は今まで意識が低学生というか、政治のことは全然考えたことがなくて、正直、来年の参院選とか全然考えてなくて意識もなかったですけど、今回こういう機会があって、関心が湧いて、この機会にいろいろ調べたりするんじゃないかなと思って。ここにいる皆さんもそうじゃないかなと思っています。
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