舌戦の続く大阪府知事・市長のダブル選挙は、地域政党「大阪維新の会」公認の松井・吉村候補と、自民党推薦の栗原・柳本候補の事実上の一騎打ちとなり、自民候補を自主支援する民主党、共産党も含めて「大阪維新」対「反維新勢力」の構図となっています。
選挙ドットコムでは、有権者の支持行動がダイレクトに表れた過去3回分の大阪府議会議員選挙と、大阪市議会議員選挙のデータを集計し、「大阪維新」対「反維新勢力」の構図を数字で比較してみました。
2008年1月、橋下徹氏は自民党府連推薦・公明党府本部の支持を受け、大阪府知事選に立候補し圧勝しました。この時点での府・市議会は自民党が第一党でした。
2010年4月、橋下氏が地域政党「大阪維新の会」を設立し、これに自民、民主の多くの議員が移籍。続く2011年4月の統一選挙では維新の会が府議選で過半数を獲得、府・市ともに自民の議席が大幅減、共産、民主の議席が約半減するなど、維新旋風が起こりました。同年11月には府知事・市長のダブル選が行われ、大阪維新の松井知事と橋下市長が誕生し、大阪都構想の実現に向けて動き出しました。
2012年12月、大阪維新を母体にした国政政党「日本維新の会」は衆議院議員選挙で自民、民主に次ぐ第三極に躍進。しかし政界再編の末、2014年12月に「維新の党」として望んだ衆院選で橋下氏は、自公の歴史的大勝を前にして「敗北宣言」。一方、維新の党は府内の比例票で114万票を得て第一党の存在感を示しました。
2015年4月の統一選は、5月の大阪都構想の是非を巡る住民投票の前哨戦と見られていました。大阪維新は府・市議選ともに第一党を維持したものの、両議会で単独過半数を得ることができませんでした。そして都構想をめぐる住民投票では反対70万5585票、賛成69万4844票となり、その差1万741票の僅差で否決されました。
大阪維新の登場で激変した大阪の勢力図。ここからは現在のダブル選の行方を占うため、府・市議選における各党の集票力に注目してみます。議席数は当選者の数ですが、落選者も含めた各党候補者の得票数の合計で政党別の集票力を計算してみました。
府内53選挙区に立候補した維新52人と、自民42・共産34・民主9人の合計得票数を比較すると、大維127万3291票 > 自共民123万9065票となり、大阪維新が3万4226票上回る数字になります。
ところが、これに自民や民主推薦の無所属候補5人分の5万7859票を加えると、大維127万3291票 < 自共民無129万6924票となり、反維新勢力が2万3633票上回って逆転する結果となりました。
市内24選挙区に立候補した維新36人と、自民23・共産23・民主12人の合計得票数を比較すると、大維37万4413票 < 自共民38万8866票となり、反維新勢力が1万4453票上回る数字になります。
これに民主や社民推薦の無所属候補3人分の4959票を加えると、大維37万4413票 < 自共民無39万3825票となり、票差が1万9412票に開いてさらに反維新勢力が優勢な結果となりました。
今年5月に行われた大阪都構想の是非を問う住民投票においても、賛成69万4844票 < 反対70万5585票となり、1万741票差で大阪都構想は否決されました。以上の数字だけを見れば、大阪ダブル選もかなりの接戦にもつれ込むことが予想されます。
そうした中で、勝敗を分けるカギは自主投票を決定した公明党の票の動きです。
公明党は大阪都構想について、住民投票の実施には賛成したものの、都構想には反対の立場を取りました。振り返れば2011年のダブル選、2014年の橋下氏の出直し選挙など、公明党は自主投票を決め、自民を応援して維新と対立することを避けてきました。
今回の選挙でも党が自主投票を決めたなかで、統一選で見せた府議候補15人分の33万1917票と、市議候補20人分の19万982票が、どのような動きをするのでしょうか。大阪維新 vs 反維新勢力の激戦の行方をめぐり、公明票の動向に注視していきたいと思います。
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