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ダダ滑り確実の総務省18歳選挙権キャンペーンに、本気出してダメ出ししてみた。

2015/12/23

増沢諒

増沢諒

特に若年層の投票率が年々下がる中、「18歳選挙権」と、それにあわせた有権者教育は、投票率向上に向け、とても期待できる動きです。

新聞やテレビ報道でも「18歳選挙権」という単語を耳にすることも増えましたが、当事者である高校生・大学生は授業の場でも「18歳選挙権」について触れているのでしょうね。

投票率が最も低いのは20代で、有権者教育を受けてこなかった27歳の僕からすると、ある意味羨ましいです。

マスコミの報道だけではなく、広瀬すずさんを起用した18歳選挙権のプロモーション動画が、FacebookやTwitterでシェアされ、目にすることも度々あります。

これは総務省が肝いりで始めた、大々的なキャンペーンの一環なのですが、そこで今回は総務省の18歳選挙権プロモーションについて調べてみました。

ちなみに僕は、2013年のネット選挙解禁に向けたキャンペーンOneVoiceCampaignにはじまり、前回の参院選の際にはYahoo!やGoogleなどと協働し、SNSで投稿する投票を呼びかけ合うWebサイトFIRSTSTEPを作り、マニフェスト大賞を受賞するなど、長年ネットを使った啓蒙活動を行なってきています。

さらに現在は、東工大の修士課程でネット選挙の研究を行なっており、ネット×政治に関してはそこそこ知識があると思っております。なので今回は少し厳しめに、総務省のプロモーションを見てみようと思います。

10代のテンションも上がる豪華な顔ぶれ!

「はじめての選挙 18歳選挙」

サイトのTOPには広瀬すずさんの写真とともに、「私たちの声を、私たちの将来に。」というキャッチコピー。

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総務省「私たちの声を、私たちの将来に。」サイトより

キャッチコピーはすごくストレートですが、広瀬すずさんのイメージともマッチしますし、分かりやすく、良いTOPページですね。

サイト下部には若者に人気のあるダンスユニット「エグスプロージョン」選挙権をテーマにしたダンス動画を公開しています。

スクリーンショット 2015-12-23 16.59.31

僕もこれまで、若年層の投票率向上に向けた啓蒙活動を行なってきましたが、この豪華な顔ぶれにはシビれます!

総務省じゃないと、ここまで10代・20代に人気のある著名人をブッキングできないでしょう!さすがです。

定番!なのに「誘導」や「面白み」がない!

スクリーンショット 2015-12-23 16.57.43
サイト中ほどには、「#18歳選挙」のコーナーがあります。「#18歳選挙」を付けて、自分たちの選挙権に対する考えを投稿し合おう!という企画のようです。

うーん、なんともシンプル。

「ハッシュタグを付けて投稿してください」という企画は、「お題があり、それに対する回答を投稿してください」という企画なのですが、このサイト上には全く説明がなく、「何を投稿していいのか分からない」というのが正直なところです。それに、「18歳選挙権に対する考えを投稿してください」と言われても、恐らく若者は何も投票しないでしょう。

それなら例えば、

#日本の未来
   例:外国からみんなが遊びに来る日本、世界一安全な国にして欲しいなど
#こんな法律が欲しい!
   例:おやつは500円まで法案、数学撤廃法案、お昼寝OK法案など
#政治が悪い
   例:歩きスマホを取り締まって欲しい、暗記ばっかりのテストを変えて欲しいなど

などの方が、投稿したくなるでしょう。
例えば、「投票」のことを考えて欲しいのなら、

「自分の将来の夢」を考えてもらう
→「自分の夢が叶うためには、どんな日本になってて欲しいか」を考えてもらう
→「日本を作るためには投票が大切」だと知ってもらう
→「投票」してもらう

といった導線作りをすべきでしょう。

なので、ここでは「#18歳選挙権」ではなく、「#将来の夢」くらいの気軽なものの方がベターです。いきなり「18歳選挙権どう思う?」と言われても、普通の若者は「いや、何も思わないっす」と返ってきます。

ちなみに、日本人は世界的に見て、「ハッシュタグで投稿」という大喜利形式が大好きな国です。僕も、2014年2月の東京都知事選挙の際には家入一真陣営で「#ぼくらの政策」を付けて、「マニフェストを投稿してください」という企画を行なったことがあります。2週間で3万件を超える投稿が寄せられました。

また、昨年末の衆議院選挙のときは、「自分の1票の価値を知ってほしい」という思いから、
・1票は360万円の価値がある(国家予算を有権者数で割り算した金額)
・1票=360万円の大喜利(例:うな重4,500杯=1票。ルンバ109台=1票。パズドラの魔法石42,353個=1票など)

という大喜利企画を行いました。
自分の1票の価値を知る

この企画はとても受けがよく、テレビや新聞にもいろいろと取り上げていただきました。ハッシュタグの企画は、ちょっと「ネタ」っぽい方が良いんです、

面白いけど・・・何のためなの?(笑)

サイトの中には、選挙権の大切さを教えてくれる動画や、投票を身近に感じさせるコンテンツが盛りだくさんです。その中でも一押しが、自分だけの選挙ポスターを作れる企画。Facebookなどで一時期流行った「診断メーカー」を思い出させますね。

ということで、さっそく僕も作ってみました。

「朝ごはん学校で食べる党」

「朝ごはん学校で食べる党」

・・・お、おう。
正直スベってますね。
思わず、この記事の中で紹介するか悩みました。

これ、僕がスベってるんですかね、それとも総務省がスベってるんですかね?
まぁどっちもスベってるんですけど、それにしてももったいない!

「◯◯党」という政党の名前が、大喜利的に自動で決まるという仕組みは面白いと思いますが、もうちょっと若者が「シェアしたくなる」ような大喜利にしないと、シェアされないでしょう。

それに、「診断メーカー」系の企画は、Facebookログインできるので、「クリック2回でポスター作成、シェア完了」なのですが、この企画の場合は、自分で写真をUPし、一度、スマホに保存して、それからSNSを立ち上げて、自分で投稿する、といった流れになります。

うーん、これは面倒だと思ってしまう人が多いでしょうね、もったいない! 企画としては面白いのに!

Twitterでどの程度拡散されているか調べようにも、「ハッシュタグ」も無いようで、そもそも探せませんでした。ちなみに、Twitterで「政党 ポスター」で検索したところ、1枚も見つかりませんでした。

30点のプロモーション。だけど、期待してます!

ハッシュタグ投稿や、ポスター作成など、企画を詰めすぎていて、何をすれば良いのか、何を伝えたいのかが全く分からないサイトではあります。

しかし、全体的にデザインもカワイイですし、そもそも、総務省がここまで積極的にプロモーションを行なっていることは、とても意義のあることですし、個人的には嬉しいことです。

総務省だからこそ、人気の著名人を起用できたり、全国の自治体と一緒に大きな動きを作れたり、また、ワークショップの実施など、ネットだけではなく、リアルの場と連動した企画を行えるのでしょう。活用次第で、この活動が10乗にも20乗にも広がっていくと期待しています!

ダメ出しばかりしてごめんなさい。この仕事、僕にやらせてください。

ご連絡お待ちしております。

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増沢諒

増沢諒

増沢諒 1988年長野市出身。早稲田大学、東京工業大学 修士課程修了。研究テーマは「政治家のSNS利用」。 2014年マニフェスト大賞受賞。ITベンチャー企業や政治家秘書などを歴任。

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