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「Share!Share!Share!」時代の最先端イベントが、オールドな議員会館で開かれるワケ

2015/12/25

増沢諒

増沢諒

近年、複数人とともに居住する「シェアハウス」や、個人の空き部屋をインターネットで仲介する「Airbnb」など、「共有」する生活様式が注目されています。

かく言う僕自身も、友人たちと、豪華な一戸建てシェアハウスに住んでいます。
参考:「白黒つけない上野パンダタワー」

家だけではなく、配車サービスの「Ubre」など、「シェアリングエコノミー」と呼ばれるような「お互いの共有」で成り立つ経済が幅広く見受けられるようになっています。
参考:シェアリングエコノミーとは?

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「シェアリングエコノミーから始まるライフスタイル提案メディア」サイトより

先月にはシェアリングエコノミーの祭典、「Share!Share!Share!」が実施され、なんと3,000人を超える参加者が集まったそうです。

たとえば、個人の空き部屋をインターネットで仲介するAirbnbの物件登録数は190カ国150万件以上。宿泊客数は2500万人(2015年10月現在)。2008年に始まったばかりだと言うのに、世界のどのホテルチェーンよりも圧倒的に多い。(Share!Share!Share!実行委員コンセプト文章より抜粋)

と、世界的にも日本的にも広がりを見せています。

最先端が、なぜオールドな議員会館で?

12月14日には、「シェアリングエコノミー協会」が発足され、衆議院会館で記者会見が行われました。地域体験シェアのガイアックス、スペースシェアのスペースマーケット、子育てシェアのAsMama、ご近所サポートシェアのエニタイムズ、知識スキルシェアのココナラ、スキルシェアのクラウドワークスなどが中心になっているそうです。
参考:「シェアリングエコノミー協会」が発足–ガイアックスやクラウドワークスなど6社

しかしなぜ、この記者会見は国会議事堂前にある「衆議院議員会館」で行われているのでしょうか?

最先端のライフスタイルなら、渋谷や六本木のチョーイケているカフェやクラブで記者会見を行なった方が、イメージに合っているでしょう。なぜ、「伝統」「古臭い」イメージのつきまとう、政治の場を使っているのでしょうか?

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「シェアリングエコノミーから始まるライフスタイル提案メディア」サイトより

最先端=規制のその先

その答えは、「政治」と「規制緩和」です。「シェアリングエコノミー」は、個々人の間の貸し借りです。

実はこれ、法律で禁止されている部分がとても多いのです。例えば、自分の家を外国人観光客に貸す「Airbnb」ですが、これは実は違法行為に当たる可能性がとても高いものです。有料で人を泊める施設は旅館業法で定められており、個々人の家の貸し借りはグレーです。

そのため、「シェアリングエコノミー協会」が目指すライフスタイルを広めるためには、法律で規制を緩和しなければなりません。実際に東京の大田区では、国家戦略特区という形で、民泊が認められるにいたっています。
参考:大田区「民泊」1月から、国家戦略特区活用

また、企業が間に挟まらず、個人間で直接支払いが発生すると、金銭トラブルや犯罪が起こりうる可能性もあり、そのトラブルをどう防ぐかも、考えていかなければなりません。そのために、まずは規制を緩和しつつ、同時にトラブルを防ぐためのルール作りが必要になります。つまり、ルールを決める政治の登場です!

「永田町の中の世論」を作る

シェアリングエコノミー協会のように新しい世の中の動きを、政治家にどう伝えるか。そして、どう政治を変えていくか。このときに、「世論」と「永田町の世論」の2つが大事になってきます。

世論はそのまま、みなさんがイメージする世論です。しかし、政治家は「永田町」という特殊な世界に住んでいますので、なかなか世の中の流行りには気付いてくれません。そこで、こちらから永田町の中に行き、イベントを行うことで、政治家の方々に活動を知ってもらうのです。

「シェアリングエコノミー協会」の発足会見にもシェアリングエコノミーを推進する自民党IT戦略特命委員会事務局長の福田峰之氏が登壇されておりました。こうして、政治家を巻き込んだイベントを行うことで、

「そう言えばこの前、◯◯さんがシェアリングなんとかのイベント行ってたな」
「若い議員がなんとかエコノミーのイベント行ってたけど、世の中の流行りなの?」

と、「永田町の中で話題」にしてもらえます。そのため、世の中全体での盛り上がりと同時に、「永田町の世論」の盛り上がりを作るために、この手の最先端のライフスタイル・ビジネスの勉強会やイベントは、議員活動で行われることが度々あります。

僕も2012年頃、民間の立場からネット選挙解禁を目指しOneVoiceCampaignというキャンペーンを行なったことがあります。このときも、ネット上で話題を作るだけではなく、議員会館で、国会議員を対象とした勉強会を行なってきました。その結果、各政党の議員さんたちにネット選挙に関心をもってもらい、最終的にはネット選挙が解禁され、安倍首相にまで「OneVoiceCampaign」が言及されました。

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「ネット選挙運動解禁 安倍総理メッセージ-平成25年6月26日」より

安倍首相は、「自動運転車」などにも一定の理解を示していますので、シェアリングエコノミーも今後、政治からの応援もあり、ますます進んでいくかもしれませんね!
参考:安倍晋三首相東京五輪までに「自動運転車」普及科学技術のフォーラムで

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増沢諒

増沢諒

増沢諒 1988年長野市出身。早稲田大学、東京工業大学 修士課程修了。研究テーマは「政治家のSNS利用」。 2014年マニフェスト大賞受賞。ITベンチャー企業や政治家秘書などを歴任。

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